ぼくが走って逃げようとした植え込みの方向には。 暗い眼をした女の人がどよん、と立ていた。 地面から数十センチ上を浮いている所を見ると、どう考えても人間ではない。 もっといやな予感に辺りを見回して。 ぼくは、へなへなとその場に座り込んでしまった。 ……街は。 ……お化けで満ちあふれていたからだ。