「やった! お化けがいなくなったぞ!」

 喜ぶぼくに、吉田さんはため息をついた。

「ううん。
 伊藤君がまた見ええなくなっただけ。
 お化けは消えてなんか無いわ。
 目は元に戻ったけど、大丈夫?
 タタるお化けの存在知ったのに……
 それを無視して街を歩けるの……?」

 だいじょうぶさ。

 と言 おうとしてぼくは言葉に詰まる。

 よく考えれば。

 見えないと、どこにタタるお化けがるのかわからない……んだ。