「鳴瀬と一緒にいるのがダルくなった…。だから、ダチ解消してぇんだ。」



突然の霧島くんからの友達解消の宣言をされて、
私の頭の中は真っ白で何も考えられなかった……。



ただ私の瞳には私の知ってる霧島くんではなく、別人のように冷めた霧島くんが映っている。


そしてその彼が私との縁を切ろうとしている……。




な…にを……言ってるの……?





飽きた…って……私のこと………?





友達…を………やめたい……?





今の状況に全くついていけず、何とか理解しようと懸命に思考を巡らせる……。


しかし、理解すればするほど私にはこの霧島くんの発言が信じられなかった……!



「どう……して……?」



掠れた声でやっとの思いで霧島くんに尋ねた。




「……飽きた。理由はそれ以外に無い。」




!!!!!




「だからもう、会ったり話したりすんのはこれっきりにしようぜ。……つまんねぇから。」


「……っ!!」


あまりの変わりように驚愕するしかなかった…。


だって、昨日の電話の時とまるで違う!!


霧島くんはそれ以上何も言わなくて、私に言いたいことは言い終わったのか、
そっぽを向いてしまって、目を合わせようともしない……。




違いすぎる……。




明らかにおかしいよ。




「霧島くん……本当にそんなこと思ってるの?」



私は無意識にそんな言葉が口からこぼれていた。



すると、今まで無表情だった霧島くんの表情が一瞬だけ動揺の色を見せた!!



やっぱり……!



霧島くんの本心じゃない!



霧島くんに何かあったに違いない!!



「変だよ!……だって、昨日の電話の時と態度が違…」


「なにを勘違いしてるか知らねぇがさッ!!……俺はもう話したくもねぇんだゎ。鳴瀬と。」


「っ!!!」


私の言葉を遮り、霧島くんが初めて私に怒鳴り声をあげた。



その時、感じていた “違和感” が何なのかがわかる!




霧島くん……、




私のこと名前で呼んでくれない………。




“咲希” ではなく、 “鳴瀬” に戻っていた。




「霧島く……、」


「そういうのもウザったいんだって!………話はそれだけ。じゃあな。」


「え……。」



そう言うと、霧島くんが歩き出してしまった!




「ま、待って!!!」



咄嗟に彼を引きとめる!!


霧島くんもピタッと止まる。



でも、こっちを向いてはくれない……。



「あの、一つだけ訊かせてほしいことが……あります……。」


「………なに?」


「私のこと、さっき飽きたって言ってたけど、それは…………………私のことを、嫌いになってしまった……ということですか……?」


本当はこんなこと直接本人に訊きたくない!!


でも!


このままじゃやっぱり納得できないよ!!


だって!きっとこれは霧島くんの本心じゃないから……!



「………………。」


「お願いです!答えて下さい!!」


「………………。」



本心じゃない!



だからきっと、嫌われてはいないはずだ!


だって、あの時……!


私が霧島くんに嫌われてしまったと思ってしまった時、彼は言ってくれた!!






『きっ……きらいに……な……ならないで………くださ…ぃ……。』


私が霧島くんにそう告白した時、


『嫌いになんてなるわけねぇだろ!? 俺は、こんなにも咲希のことが好きでしょうがねえんだから!!』


霧島くんは私にそう言って、抱きしめてくれたから……!!




だから…!



嘘だよね!?



違うんだよね!!?






「…………………好き」


「っ!!!霧し…」


「じゃねぇよ。べつに…。」




!!!!!




「もういいだろ。」


そう言って霧島くんは歩き出して、この場から立ち去ろうとする。



「っわたしは!!……………私は、もっと一緒に居たかった!!」



霧島くん……



「……………もっと……話したかった!」



どうして………



「もっと、あなたと…分かり合いたかったです……!!霧島くんっ………!」



こんなにも、遠くなってしまったの………?




彼の背中が小さくなり、



そして見えなくなった。




「きり…し…ま…く…………好き……で…す……。」




私の人生初めての “告白” は、相手に声も気持ちも届かず、
とても哀しいものになってしまったのだった……。