はぁ~…。



まさか靴まで無くなるとは……。



けっこうショックだな。





上履きで帰りの道をとぼとぼと歩いていた。


やっぱり靴を違う人のところに間違えて入れるなんてあり得ない…!



誰かが故意に持ち出したに違いなかった。



ということは、



やっぱり…嫌がらせ……



だよね………。



そうは思いたくないけど……。



履いて歩く白い上履きがやけに目立っている。


帰る道は、普段歩いている道なのに、今日はやけに違う景色に見えた……。



明日…探してみようかな…。



もしかしたら見つかるかもしれないし。


歩道橋にさしかかり一歩一歩、のぼってゆく。



はぁ~……。



元気出さないと。



落ち込んでても何も変わらないのに。



階段をのぼりきり、下を見てみると国道が北から南へはしり、多くの車が行き交っている。


私はしばらくその光景を眺めていた。


今は、なんだか風にあたりたい気分だな……。




~♪




ん…?



メールだ。




パカっと開いて見てみると……。






【件名:咲希へ


道ばたでみつけた。


うまく撮れてんだろ?】




あ!!



霧島くん!!!




メールは霧島くんからで、添付画像と一緒に送られてきた。


通信してその添付された画像をひらいてみると……。



わぁー!



綺麗!!!



画像はブーゲンビリアの花!



色鮮やかなピンクの色が画面いっぱいに広がっている……!!


霧島くん、覚えてくれてたんだね……。


私の好きな花。



でもよく見てみると、画面の隅に他の花も見える。


これって………



もしかしてお花屋さん??



“道ばたで”って書いてあるけど、道ばたではないよね??


とりあえず霧島くんに返信をしてみる。





【件名:ありがとう!


嬉しいです!ありがとうございます!! (*^^*)


霧島くん、もしかしてお花屋さんにいる?】




するとすぐに返事が返ってきた!





【件名:RE: ありがとう!


ばれたか。


喜んでくれたんなら撮ったかいあったな。


俺の気持ちだ。】




ふふ。なんか霧島くんらしいメールだな。


短い文章で素っ気なく感じちゃうかもしれないけど、
彼の心の温かさを知ってるゆえか、
ジンときてしまうものがあった……。



好き………。




霧島くんが、好きだよ……。




彼からのメールに向かって、そう心の中で告げる。



この心の声が今の霧島くんの心に届けばいいのにな……。



もどかしさというか……。



歯がゆさというか……。



そんなを想いを抱いてしまう。



私、なんだか欲張りになってるな……。



そうは思うものの、彼のメールを見てはまた想ってしまう。


人を好きになるって、こんなにも切ないんだ…。



でも、この切ない感情は嫌じゃない。


「霧島くんに会えてよかったな……。」


ぽつりとそう呟き、
そして迷ったけど、思いきって彼のメールを保護してしまった…!


頬が紅潮してくるのがわかる。



ただ想うだけなら自由だよね………?



うん、そうだよね!



想うだけなら………。





そして私はまた歩き出し、
歩道橋の階段を降りようと二、三歩段差を降りたその時!!






ドンッ!!







え…………







何かに背中を押され、フワッと体が宙に舞った。





それはとてもゆっくり……。






そして地面が近づいてきた……。







「危ねぇッ!!!」