!!?




急に背後から声が飛んできた!!




まさか!ききき霧島くん!?




バッと振り返ってみると………




「ペチュニアよ。ソレ。」




アレ?!



ど、どなた!!?



そこに佇んでたのは霧島くんではなく、一人の女性だった。


背が高いせいか、妙に威圧感が漂っている……!!


「アンタ、ここで何してんのよ?」


あ、もしかしてこのお店の方なのかな?


とりあえずここに来た理由でも言わないと!


「あの、私は…」


「今はまだ開店できないから、ちと待ちな。豆が無くてさ。」


と、見事言葉を遮られてしまった…。



あ、そうなんだ!



豆ってコーヒー豆だよね?


きっと。


するとその女性にジロリと見られていることに気がつく!



え……。



な、なんだろ?



「アンタ、まさか理人狙いの客じゃないだろうね…?」



え”!!



「フン!やっぱりそうかい……。その立て看板をよく見なっ!!」


え!?


立て看板っ!??



側にあった立て看板に目を移すと、そこに書かれていたのは………





【ケツの青いガキ(女)は入店お断り】





え!!?



ケ、ケツの青い!??



ど、どういう……意味なんだろうか………。



ポカーンとその立て看板を凝視していると。


「ま、そういうことだからサッサと帰ンな!!ここはCLUBじゃないんダヨ!!!」



ザッザッ…と立ち去って行くその女性に対して、私は誤解を解きたくて声をかけた!



「あ、あの!お姉さん!!待ってください!」



すると彼女の大股歩きが、ピタリと止まって………。




「お姉さん…?」




へ!?



な、なに!?



女性は引き返してきて、また私の目の前に佇んだ!!


「アンタいま………アタシのこと、“お姉さん” って言ったね!?」


な、なんだろう!?


私、何かマズイことでも言っちゃったかな!??



意を決して頷く……!



「は…はい……。」



ゴクリと生唾をのむ…。




すると、




「アンタ!!………なんて心のキレイな子なんだい!!アタシの事、“女” に見えるんだろ!?」



え?え??



なんか急に泣き出した?!!


その変化に戸惑ってしまう!!


「女性以外には……見えませんが………。」


どうして泣いてるんだろう?!


わ、私が泣かせた事になっちゃうよね!?


急いで鞄の中からハンカチを出し、その女性に渡す。


「あ、あの、何があったかわかりませんが、と、とりあえずコレをどうぞ……。」


その女性はハンカチを受け取り、涙をふいて、ズビィー!と鼻をかんだ……。



「アンタ……名前は?」


「え!!?…鳴瀬…咲希…といいますが……。」


「咲希ね。……よし、決めた!!アタシがアンタ専用のバリスタになってやろうじゃないか!!!」


「……………………はい!?」


そして勢いよくその女性に両肩をガシッと掴まれる!



ぬわっ!?



「リッキーなんてやめて、アタシの珈琲を飲みなっ!!アイツのはまだまだまだまだ珈琲とはいえないよ!!」



リッキー!??



「あの………リッキーって?」


「何よ?アンタ、リッキーの追っかけじゃなかったのね!?そうかい!それは失礼なことしたわねっ!!!」


と、頭を下げられてしまった…。



話がよくわからないんだけども……???


リッキーって犬かな…?


するとお店の裏から声が聞こえてきたっ!


「オイ!豆の配送まだ遅れるって今電話が…あっ……て…………」




あ!!霧島くん!!!




霧島くんも私を見て目を丸くしている!!



「あんだって?!まだかよ!死ぬ気で届けなって伝えなッ!!!豆が無きゃ営業できやしないわよ!!!フン!」


そして女性は私にニッコリと笑うと、


「咲希、ちょっと待っててね!アンタのためにすぐ珈琲淹れてあげるように手配してるから!」



いつの間にか両手をギュッと握られていた……!



「い、いえ、私は…!」


「遠慮しなくていいのよ?さっきのお詫びに飲んでいって!あ、ちなみにアタシ、マリコ!よろしくねん♪」



すると。




「オイ!このクソ野郎ッ!!俺の咲希になにやってんダヨ!!!今すぐ離せっ!!」


と、霧島くんが私からマリコさんを引き離し、マリコさんのワイシャツに掴みかかった!!


「ちょっ!霧島くんやめて!!女性に乱暴は良くないよ!!!マリコさんを離してあげて!!」


間に入り、彼を必死にとめる!


「え…………咲希………。おまえ、“女性” って………このクソ野郎が女に見えんのかっ?!!」


「ちょっと!!駄目だってば!!女性に対してそんな罵声を浴びせちゃっ!!」


「咲希……。よく見てみろって。」


霧島くんが指をさし、冷静に諭すように言ってくる。



指差した方を見ると、マリコさんがズン!と仁王立ちしていた。




……………。



…………………。




「女性じゃないっ!霧島くんまた私をからかって!今日はそうはいかな…」


「こんなヒゲの濃いヤツが女なワケねぇだろ。」


「へ??ひげ?」



た、確かに顎辺りがいやに青っぽいけど…。


「それと、こんな地声が低いヤツなんか男だとまずは思うだろ。」




…………………………え。





ま、まさか………!!





「お、お、お!おとこっ!??」


はあぁぁ~。と霧島くんが頭を抱え、


「はぁ~い!アタシ、理人の叔父でぇ~っす!」


と、マリコさんは茶目っ気たっぷりのポーズを決めていた……。


叔父…さん……。



どうして、女性の格好なんかしてるんだろ………。



私にはかなりの謎だった。