いま私は人生最大の難問にぶち当たっていた……




ちょっとストップ!!



この状況どうしたらいいの!!??



霧島くんの顔がどんどん私に近付いてくるし、


それに手だって耳に触ったまんま動かないし!!!




私の心臓はバクバク……。



体中は熱湯に浸かってるのでは?!と思うくらい熱い……。



視線も何処に向けていいかわかんない……!



「咲希。もっと見せろって。」



え?!!



ななな何をっ?!



これ以上何を見せればいいの?!!



彼の真っ直ぐな瞳に射抜かれて硬直状態の私……。




すると。





パシャッ






へ!?




「よし。上手く撮れたな。」




………………………。





…………………。





……………え?



「記念の一枚だな、コレ。」


急に霧島くんの体が私から遠のいた。



え???




何が起きたの??



状況に全くついていけなくて、私はその光景をただポカーンと見ていた…。



そしてあることに気づく!



霧島くんのもう片方の手に携帯がっ!!



さっき鳴った音………って、

あれってシャッター音…………?




!!!



ま、まさか!


「と、撮ったの!?私を!?」


「さぁ、どうでしょう?でも、なぜかカメラモードには成ってたけどな、俺の携帯。」



やっぱり!!!



「もう~!!っ今すぐ消してよーーーーー!!!!」


「ハイハイ。その前に、咲希。図書館では静かにしような?」



…………………あ”。




一気に注目の的になってしまった私……。



「すみません……!」


ペコペコと周りの人達にお辞儀をして、ストンと座った。


「うぅ~……。」


霧島くんの意地悪っ!


また私をからかって!!


あんなに素直に自分の気持ちを言ったのに!!


それに今の真っ赤な顔を撮るなんて失礼だよ…!!



「ほら、見てみ?超キレイだから。」


「も、もう知りません…!」


プイッと顔を背ける。


すると霧島くんから穏やかな声が聞こえてきた。


「咲希。拗ねてないで、とりあえず見てみ…?怒るのはそれからだって。な?」


な、なによ…。


そんな声出しても許してあげないんだから…!


心の中でクドクドと文句を並べてたけど、
霧島くんの声に引かれて携帯を覗いてみた…。





うわぁ…!






「な?完璧だろ?」


「これ………私の髪飾り…ですよね!?」


それは太陽の光に当たって反射してる私のヘアピンで、
飾りの花の部分がアップで撮影されて綺麗に輝いていた写真だった!


「本当に綺麗!素敵だね……。携帯でこんな風に撮れるんだ…!凄い!」


「な?キレイだろ?咲希に喜んでもらえるかなと思って。さっきの、咲希から俺への告白のお礼に。」



へ!!?


告白!!?



アレってそんな大それた事だったのか!



ただ自分の思ったことを打ち明けただけなんだけどな~。



う~~ん。



それにしても……アレは恥ずかしかった!



せっかく忘れかけてたのにさ…。


またからかわれてるよ、霧島くんに…。


とほほ。



私がまだいじけていると、
霧島くんは写真を見て何かに気づいたのか、私に訊いてくる。


「この花って…もしかしてブーゲンビリア?」



え!!



「あ、当たりです!すごい!霧島くんってお花の知識もあるんですね!」


言い当てられ、少し興奮する私。


「いや、花のことは知らねえけど、この花は昔から知ってる。実家の庭でよく咲いてたからな。」


「そうなんだ…!私このお花好きで、母の日によくお母さんに渡してたんです。綺麗ですよね~いろんな色があって…!」


「そうだな。俺のオフクロもこの花が好きでよ、小さい頃は耳にタコができるくらい名前教えてくれたっけ…。でもそっか。咲希も好きなんだな…?」



「ハイ、大好きです!」



「ーーっ!!」



私は霧島くんに向かって満面の笑みで答えた。



共通の話題かぁ。


しかも私の好きなモノの話ができて嬉しいなぁ~。


さっきまで拗ねてたのに、もうスッカリ機嫌がなおってしまった私。我ながら単純だと思う…。



「…………。」



あれ?



霧島くんの口数が急に減ったな…。



どうしたんだろう??



そう不思議に思っていると、霧島くんが口を開く……!