「なになに?咲希ちゃん何かあったの??」


唯ちゃんが笑顔で問いかけてくる。


「え?何かあったっけ??」


「そう!まだ話してないことがあるでしょー?」



う〜ん。


お知らせって、何か知らせなきゃいけないこと、あったかな!?



「………あ!!もしかして霧島くんが私達に謝ってきたこと?!」


「ちっがーーう!!って、まぁそれもあるけど…その後だって!」


「その後………あ!霧島くんが私に風邪薬返してくれたことか!」



“風邪薬!?”と唯ちゃんが反応し、

はあぁ〜。と、ちーちゃんがため息をつく。



「確かにそうなんだけど、私が聞きたいのは風邪薬うんぬんとかじゃなくて!」



え?!


違うの?



じゃあ何だろ??



あの後、他に何かあったっけ!??



「え!?なになに!??どういうこと!?咲希ちゃんいつの間に霧島くんに風邪薬なんて貸してたの!!?」


唯ちゃんが食いぎみに目を輝かせて訊いてくる!



うーーん。


と唸っているとちーちゃんが真剣な顔で訊いてきた!





「あたしが聞きたいのはさ。
……………あんた達、いつからそういう関係になったの?」





…………ん”?!





「え?そういう関係って何!??」



私と霧島くんに関係なんて存在するのだろうか???


私にはちーちゃんの言いたいことがいまひとつわからない…。


「だから、いつから咲希と霧島くんがそんな仲良くなったのか?ってことよ!」



………え?え?!



「ええっ!??な、仲良いの!??わ、私と霧島くんがっ!??」


「そうなの?!咲希ちゃんと霧島くんって仲良しだったんだ!!どうしてそうなったの!??」


唯ちゃんもわけがわからないらしい。


ちーちゃんがこれまでの霧島くんとの接点を訊いてきたので、
ひとまず私は昨日の図書室の件と、
その時霧島くんと少し会話して薬を渡したことをできる限り詳細に二人に話した。


そして今日、霧島くんがその薬をわざわざ私に直接返すために教室で待っていてくれたことや、
昨日のことが霧島くんにとっては余計なお世話では無く、逆に嬉しかったという気遣いの言葉をかけてくれたことを話した。




「霧島くんが情のある人で、ほんとに良かったよ!余計なことしちゃったかなってかなりヒヤヒヤしてたし。」


二人に話したことで、気持ちはスッキリして、晴れやかな気分になった……!



「「……………。」」




ん?




なんだか二人とも、さっきからずっと黙ってるけど??



「ど、どうしたの?私、変なこと言っちゃった?!」




すると、



ちーちゃんが眼をカッ!!と見開いて……!?




「咲希っ!!!!あんた凄いじゃないっっ!!!」




と、私の両肩を正面からがっしりと両手で掴んだ!!



「ど、ど、どうしたの!?ちーちゃん、そんな大きな声出して!」


「これが大声出さずにいられますか!!」



ちょ、ちょっと、目が恐いよ…!?



どうしたんだろ、いきなり!?




「そうか!あの時、“本命いる” みたいなニオイを漂わせてたけど……そうか、そういうことだったのか……!!!」


「霧島くん、咲希ちゃんがタイプだったんだ〜〜!!」



え!?

唯ちゃんの目のキラキラさが半端ない!!


何?


何なの!??


全然何がどうなってるのかさっぱりわからないよ!



するとちーちゃんは少し話すトーンを下げる。


「霧島理人をオトすなんてやるじゃないっっ!!たとえ咲希に気がなくても、あたしは二人のこと応援するから!!ライバルは多いけど、霧島くんは断然オススメだよ!!あ!ちなみにこれはあたしの勘ね♪」


「え!?霧島くんを “落とす” ??いやいや、どちらかというと落とされるのは私の方で、霧島くんの方が腕力あるから、川とかに放り投げられ」


「頑張って!咲希ちゃんっ!!私も応援する!!あぁ〜〜なんだか私、ドキドキしてきたぁ〜!!!」


「ドキドキって…お、落とすことが!??」


意味がわからないよ…!


「でも唯ちゃん!!頑張らなきゃいけないのは、霧島くんの方だ・か・ら♪」


「ハッ!そっか!そうだね、千枝ちゃん!!」



もう!勝手に二人で盛り上がってるし……。



話の内容がさっぱりわからないよ!!



そうこうしてるうちに、私達のチームの試合の番がまわってきて、話は一時中断された。




落とす??!!



いや霧島くんを川やら崖から落とそうなんて物騒な考えを起こしたら、すかさず返り討ちに合うでしょっ!!



考えただけでも恐怖で震え上がってしまう……。



そんな雑念を捨て、私は懸命にボールを追いかけた。