すると微かに声が聴こえてきた。





《…よし!これでいいわね!》





…………ん?




なんだろう、今の声。




何処かで聞いたことあるような……?





と、次の瞬間!






《ーーッオイ!てめぇら、よぉ~~~く聞けッ!!!今から緊急の告知放送すっから、その耳かっぽじって聞くんだ!!!》




え!!?




こ、この声って!!!





まさかとは思いつつ、そろ~っと目の前にいる人の顔を見上げた!


「なんなんだ、この放送……!!」


と、霧島くんの眉間に皺がよる!




《いいか!?俺様こと、霧島理人はひとつ、この場を借りて言わなきゃいけねぇことがあるっ!!》




やっぱり!!!




この声、紛れもなく霧島くんの声だっ!!!



すると霧島くんも驚いていて、余計に眉間の皺が寄る!!


「なっ!!俺!?いったいどういうことだよ!??」


「き、霧島くん!あの、これって霧島くんの声………だよね??」


「はっ!?俺の声!?」


困惑してる私達を無視して、放送は続く!




《それは、今までてめぇらに黙ってたこと。 “秘密” にしてたことを今日この場で打ち明ける!!!》





秘密にしてたこと…?





「霧島くん、秘密にしてたことって??」


と制服の乱れを直しながら霧島くんに質問するが、全く今の状況を理解できてないのか、

反応が無い…。





《てめぇらに秘密にしてること…。驚かないで聞けッ!!いいか!?それは、俺は “女装マニア” だってことだああぁぁ!!!!》







………………………へ?!







「……………はぁ!!?」




私と霧島くんは開いた口が塞がらない状態に……!!




《三食の飯より、女装!!一日三回は女の格好をしねぇと気が済まねぇっ!!!そんな身体に、俺はなっちまったんだ。》






「霧島くん……。女装……好きなの…?」




私はポツリと思ったことを口に出してしまった!


するとハッ!と我に返った霧島くんが急に慌てて必死に否定する!!


「んなわけあるかよっ!!俺は潔白だ!!女装なんてありえねえ!!考えただけで寒気する……!咲希!コレは俺じゃねぇよ!!!だから惑わされんなよ?!」



だけど校内放送の霧島くんの声が無情にも響き渡るっ!




《とにかく!!これは俺の趣味!!!美を追求してぇんダヨ!だからすなわち!てめぇら女子はある意味俺の敵だッ!!!二度と俺に気安く声をかけんじゃねえ!!わかったかッ?!!フン!……………ちなみに!最近のお気に入りのレディースアイテムは、ノースリーブの…》




放送はまだまだ続き、終わる気配がないように思える。





えっと…。




とりあえず、




どうしたらいいんだろう?




ここに居る霧島くんによると、今流れている放送の声は霧島くんではなくて、

でも放送の声は霧島くんの声そっくりだし……。



心の中で葛藤していると、霧島くんがわなわなと震えだした!!



「……ふざけやがって。俺は女装趣味じゃねぇ!!誰だよ!?んな悪戯しやがる奴はッ!!」





お、お怒りになられている……!





すると。






バアァーーン





屋上のドアが急に開いたっ!!



「お!マジで開いたっ!!ガセじゃなかったんだ!へ~。」




え!?




准平くん!??



「さぁてと!あとはこのビラをまいて…っと♪」


いったい何をやってるんだろう!?


准平くんの手には大量の紙の束がある。


不思議に思って眺めていると、不意に准平くんがこっちを見た!!


「アレ?!ピュア子ちゃん!!こんなところでなにやってんだ!?って!!理人さんも!!あぁ~~、まさか密会ぃ?!理人さんもやるぅ~。」



じゅ、准平くん……。




今はまずいよ、ある意味…。




すると霧島くんは恐いくらいの笑みを作り、
准平くんに近づいて行く!!


「准平………。お前は何をやってんだ?」




こ、怖い!!!




ホラーだよ!!




でも准平くんはそんな霧島くんを気にも留めないみたいで、
手に持ってる紙を数枚、屋上から下へまいた!


「理人さん、悪いけどいま忙しいからあとにしてもらえる?俺は俺の役目を果たしてぇーんだ!」


「あぁ!?役目だぁ!?准平、お前何言って…………………、っ!!!??」





あれ?!



霧島くん!!?




霧島くんが落ちてる紙を拾って見た瞬間、彼の体は一時停止状態にっ!!




「霧島くん……、あの、どうかしたの…?」


と、恐る恐る彼に近づいて行くと……。