「う、うそ……!!」


そんなことって……!!!




霧島くんが、



わ、私に一目惚れ……?!!



「マジなんだけど?咲希は覚えてねぇかもしれねぇけど。俺は入学式の日に、咲希ともう会ってんだよ。」


「にゅ……入学式??」


「ん。遅刻してただろ?咲希。」


「……あ!!み、見てたの!?」



そう。


私は入学初日から寝坊してしまい、案の定、入学式には間に合わなかった……。


カアァと顔から火がでそう!



う~~。


アレを見られてたなんて恥ずかしい!!


髪はボサボサだったし、全力疾走してたから制服も乱れてただろうし……。



そんな私の様子を見て、クスっと霧島くんは笑みをこぼす。


「可愛かったよ?鍵を俺から受け取りに来たときの咲希。」


「え?……………鍵を??」


「ん。あん時は笑ってくれたのにさ、再会した以降は俺を見るたびに怯えた顔をしてたから、俺もかなり気ぃつかったゎ。」


「鍵………入学式……………。あ!!も、もしかして、学校前で家の鍵を落とした時に、それを拾ってくれたのって、霧島くんだったの?!!」


「やっと思い出したか?咲希さん?」



思い出す……


というか、だってあの時!


「き、霧島くん………。あの、非常に言いにくいのですが……、その日私、コンタクトをするのを忘れてて、裸眼だったので………その……霧島くんの顔をちゃんと……見えてなかったかと………。」


「え!?……見えて…なかった?!!」


「は、はい……。うっすらとしか、見えなかったと言いますか……。ご、ごめんなさい!」



すると霧島くんはガックリと肩を落としてうずくまってしまう!



「マジかよ………。やられた……!」


「え?!あの、霧島くん??!」



そ、そんなにショックな事だったなんて!!




でも……



そっか。




そうだよね。




一目惚れ……してくれた日だもんね?



そう思うと胸の奥がジンと温かくなって、
ガッカリしている彼の姿が妙に愛おしく思えてしまった…。



「ふふ。かわいい……。」



思ったことをつい口にだして言ってしまった。



するとその言葉にピクッと霧島くんが反応した!!





そして。






「咲希。随分余裕あるな。」



と、霧島くんがゆっくり顔を上げた。



ハッ!!



こ、この笑顔は……!!



さっきの彼とは一変、豹変していた!!!



「 “かわいい” って、俺のこと…?」


霧島くんが立ち上がると、両手をソファーの背もたれに置き、私を完全に閉じ込めてしまった!!



こ、この霧島くんは、私に意地悪する時の……!!!




ま、まずい!!




「あ、あの、そうじゃなくてですね!?その、えっと………。あ!い、今の仕草が、なんだか准平くんっぽいかな?って!!」



無理やりすぎたかな?!




「…………。」


「ほ、ほら!准平くんって、けっこう……仔犬?みたいじゃない?!そういう仕草がたまに可愛いな!って思うときがあってね?」


「…………。」


「だから、ちょっと似てて!!それで可愛く思っちゃったりして……!じゅ、准平くんもね、この間…」


「気にいらねぇ。」


「お菓子をヤスさんに取り上げられ……………………え!!??」



“気に入らない” ?!!




なんで?!!



どこが!!




「准平ばっか。気にいらない。」



そ、そんな!!




私は必死に誤解を解こうと!!



「咲希はもう俺のモン。だから他の男の話されんのムカつく。」


「なっ?!」



すると霧島くんが急激に私との距離を縮めてきた!!!





「俺でいっぱいにしてやる。」