浮気男に逆襲を!



「……またその顔。誘ってんの?」


「へ?」


「赤い顔して上目遣い。それ反則だってこの前注意したじゃん」



茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべ、もともと至近距離にあった顔をさらにずずいと近付けてくる。


まぶたを下ろしたのは条件反射で。


ほんの一瞬触れただけの軽いキスだけど、まだまだ慣れないらしく心臓が跳ねる。



「あー…やっぱ、こんなんじゃ足んねぇわ」



えっ? と声を上げる間もなかった。


気付いた時には、もう唇を奪われていて。


それが、次第に深いものへと変わっていく。



「んッ……」



息が苦しくなって、トントンと先輩の胸を叩く。


ゆっくりと唇が離れ、妖しく微笑む彼の顔がドアップで映った。



「ふっ…。りん、かわい」


「う、うっさい」



んなマジマジと見んなし。


せっかくの誕生日が恥ずかし死にで命日と化すわ。