「……別に」



なぜか横を向いてしまう。


女は「ふーん?」と怪訝そうな声を漏らし、また本に視線を戻した。


その様子をチラ見して、俺は内心舌打ちする。


何だコイツ。随分平然としてやがるな。


大抵の女は、俺見てキャーキャー騒いだりビビって震え上がったりすんのに。


無反応ってのはさすがに初めてだ。



「うっわー。ベタなオチ。つまんなっ」



先程から熱心に読んでいた本を閉じて、桜色の唇をへの字にしてぼやく女。


どうやら結末が気に入らなかったらしい。



……独り言はもっと小声でやれよ。