「そんなん決まってんじゃん。離したくないからだよ」


「へ! ?」



甘~い囁き再び。


やばいマジで倒れそう。



「つーか…何あんなヤツに触られてんの」


「え?」


「元彼だよ。いつ押し倒されてもおかしくない状況だったじゃん、さっき」


「押し倒すって……」



いくらなんでもそりゃナイでしょ。


一応ってか確実に別れてんだから。



「まったく…。りんは無防備すぎるんだよ」



不服そうにぼやきながら、その見た目よりがっしりした腕を解くアッくん先輩。


あー良かった、とりあえず命の危機脱出!


と安心したのもつかの間。



「ダメだな……俺、りんのことになると一気に余裕なくなる」



ため息混じりに呟く先輩のキレーなお顔が、10cmもないんじゃないかなってくらいの距離感で存在。


……一難去ってまた一難。