「そっかー。じゃあいつか願い事ができたときは、一番星が願いを叶えてくれるといいね。小さい頃から祈ってきた雫ちゃんの願いなら、きっと叶えてくれるだろうし」


わたしの話を聞いて、サトちゃんは優しい表情でそう言ってくれた。

その言葉が嬉しくて、いつしかわたしも微笑む。


「ありがとう。なかなか毎日は祈れてないから確率は低そうだけど、それでもいつか叶うといいなぁ」


今はまだ、特別叶えてほしいような願い事はないけれど。
それでもずっと探してきた輝きが叶えてくれる日が訪れたら、きっと嬉しいに決まってる。

そんな日を少し待ち遠しくなりながら、わたしはもう一度空を見上げた。



……もうそろそろ、閉めなくちゃね。

名残惜しいような気持ちでしばらく星を見ていたのだけど、そんな思いで我に返る。

だけど目線を空から地上に移したとき、わたしの瞳はまた別のものに惹きつけられた。

ナツくんが、チームメートと何やら真剣に話し込んでいる。
その横顔を見ていたら、懐かしいことを思い出した。

初めて被服室からナツくんを見たときも、あんな顔してたっけ……。


ナツくんの存在を知ったのは、この被服室で初めて家庭部の活動した日だった。

たまたま今日と同じ窓際の席に座って、気分転換のつもりで外の景色を見たとき。
最初に目に入ってきたのが、姿勢が綺麗なナツくんだった。

マウンドに引き締まった表情で立ち、真っ直ぐ背中を伸ばしてキャッチャーと目で合図をしていたんだ。