2-2のまま延長戦にもつれこんでかなりの接戦にはなったし、テレビ越しに見る選手たちの闘志は最後まで途絶えていなかったように思う。それでも最後、相手選手が打ったサヨナラホームランによって負けてしまったのだ。
まるでドラマか何かの見せ場のシーンかっていうぐらいに、見事なタイミングでの綺麗なホームランだった。でもそれは、作り物なんかじゃない。現実に起こった、リアルな出来事。
どれだけ強い学校だと言われていても、必ず勝って先に進める保証なんてどこにもない。どれだけ相手に劣らないプレーをしていたとしても、どこかで試合展開が不利な方へひっくり返ることも当然のようにある。
勝利に心から喜ぶ人たちがいる一方で、敗退に心から悔しがる人がいる。みんな本気で闘っているからこそ、その落差はさぞ大きいだろう。
でも残念なことに、それが現実。北野総合学園は春夏共に後者だったことになる。それは、さぞ悔しいものなのだろう。
……だけどきっと、そんな北野総合学園の背後にはさらにもっと悔しがっている人たちがいる。
県大会で負けて、甲子園への切符を手に入れることさえ叶わなかった選手たちが――。
「ほんと、いい試合だったよね。これは勝てるって、そう思えるような試合だった。でもまさか最後に、あんなタイミングで打たれるとは思わなかった……」
茉理ちゃんは一度そこで言葉を切ると、唇をきゅっと内側に丸める。
それからスプリングコートのポケットに両手を突っ込んで、向かいの家の庭から歩道へ大きく伸びている桜の木の枝を見つめた。
満開になったばかりで綺麗なピンク色を纏っているそれは、アスファルトの上に長く影を伸ばしている。



