いつでも一番星



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まだ残って作業をするらしいサトちゃんや他の部員に挨拶を済ませて部屋を出た。

気分が晴れないせいか、昇降口へ向かう足取りも重い。ナツくんに渡せなかった友チョコが入っているカバンさえも、いつもに増して肩に伸しかかっている気がする。


カバンの紐をぎゅっと握るわたしの頭の中には、今日最後に見たナツくんの後ろ姿が浮かんでいた。

荷物を持ってさっさと教室を出ていく、真っ直ぐ伸びた背中。追いつくことが叶わなかった大きな背中。

脳裏にこびりついたそればかりを思い出してしまう。

どうせナツくんのことばかりを思い出すのなら、笑顔を思い出したいのに……。
あのやわらかな表情を、ちっとも上手く思い出すことができない。

どうしようもなく、胸が苦しくなった。


「……、」


目の奥が熱を持ち始めたことに気づき、たどり着いた2組の靴箱の前で慌てて固く目をつぶる。

瞼の裏で、じわっと涙が滲んだ。


……馬鹿だなぁ。

泣くぐらい後悔するなら、もっと最初から頑張ればよかったのに。

いくらナツくんのことが好きでも、近づきたいと思っていても。
自分から歩み寄っていかない限り、この胸を支配する想いは何ひとつ伝わらない。

それがわかっていて友チョコを渡すことを決めたのに、自らこんな後悔する結末を生んでしまうなんて……。

臆病者の自分への悔しさで、涙は静かにあふれ続ける。ひとりきりになって気が抜けたせいか、なかなか止まらない。

それを手の甲で何度も拭っていた、そのとき――。


「……平岡さん……?」


様子を窺うような声色で、名前を呼ばれた。