いつでも一番星



机に頬をぴたりとくっつけて、窓の外を再びぼんやりと眺めた。

野球部が休みで人がいつもより少ないグラウンドは、何だか活気さえも普段と違って乏しく感じる。

いつもと違うグラウンド。ナツくんがいない光景。

今のわたしの目にはすべてが物寂しく見えて、心に影を落とすようだった。


「……今日は、もう帰るね」


ぽつりと呟いて、机の上に広げたままの材料と道具一式をかき集める。

ミスしてばかりで何も工程は進んでいないし、今日はこれ以上ここにいても意味はなさそうだ。

おまけにどこにいたってナツくんのことを思い浮かべてしまうし、おかげで心は全然休まらない。
それならいっそもう、家に帰って身体だけでも休ませたかった。

まとめた荷物を被服室にある家庭部部員専用の戸棚へしまい、借りていたミシンももとの場所へ戻す。


見上げた部屋の壁時計で時刻を確認すると、午後5時になりそうなところだった。

自由な部活ゆえに終了時刻は決まっていないけど、大体の部員が目処にしているのは午後6時。わたしもよほどの予定なんかがない限りはいつもはその時間に帰っているから、この時間に帰るのは珍しくて不思議な感じがする。

でも冬の空はせっかちで、もうすでに夜の闇にバトンタッチしようと準備済みだ。

太陽こそまだ沈んでいないものの、外を見るたびに空の色は徐々に変化している。

星はまだ見えないけれど、白っぽくて薄い姿をした月は、すでに東の空に居座っていた。