――キーンコーン……。
だけど過去の失態を振り返っている間も、残酷なことに時間は止まってくれなくて。
チャイムがホームルームの終了を告げて、わたしを放課後の時間へと誘う。
ついに来てしまった……。
ナツくんに友チョコを渡せる、ラストチャンスとも呼ぶべき瞬間が。
決意は朝より少し揺らいでいる。
でも今日渡さなきゃいけないものがあるから、さすがにこんなときまで臆病風に負けているわけにはいかない。
今日、野球部は休み。
だから放課後、ナツくんはすぐにグラウンドに向かわなければならないという状況でもない。
それに横峰くんは茉理ちゃんとデートだし、ナツくんはたぶんひとりで帰るはず。
呼び止めるなら、もう今しかないよね。
ホームルームの最中にパニックになりながらも、何とか見つけ出したナツくんに渡すチャンス。
それを逃がすまいと、号令が終わるなりカバンの中から急いで紙袋を持つ。
そしてクラスメートが思い思いに動き出した教室で、ナツくんの姿を探した。
窓際の後方の自分の席から、ほぼ対角線上にある廊下側の最前列を見遣る。
その席にいるナツくんは早くも帰る準備が万端だったらしく、荷物を持って教室の前のドアから今まさに出て行くのが見えた。
まずい、呼び止めないと!
慌てて紙袋を抱えながら、教室の後方のドアから廊下へと飛び出す。
「わっ、ごめんなさい……!」
「あ、いえいえ」
すると勢い余って、廊下を歩いていた人にぶつかりそうになった。
ぺこぺこしながらも先を急ごうと廊下を見据える。その結果、廊下がとてつもなく混雑している様を目の当たりにした。



