「はい、わたしからもどうぞー」
「ありがとう、雫。うわ、ドーナツだー! おいしそう! 食べるの楽しみだなぁ」
茉理ちゃんはその場でさっそく紙袋の中身を見ていて、顔を綻ばせていた。
まだ実際に食べてもらったわけじゃないけど、その反応を見せてもらえただけですでに嬉しい。
自然と口角が上がる中、わたしも茉理ちゃんから受け取ったラッピッング袋を見る。
半透明のその中身は透けていて、星形のクッキーがたくさん入っていた。
1枚ごとにチョコペンなどでデコレーションが施されている、かわいらしいクッキーだ。
クッキーを見つめていると、茉理ちゃんが自信なさげに声のトーンを落として尋ねてきた。
「それ、一応雫に教えてもらったときみたいに作ったんだけど……。どう? 味見はまあ大丈夫だったけど、ぱっと見も変だったりしないよね?」
クッキーから茉理ちゃんへと視線を移すと、心配そうにわたしの反応を見ていた。
わたしは満面の笑顔で頷く。
「うんっ、ばっちり上手く出来てるよ! デコレーションも剥がれたりせずにきちんと綺麗だし、クッキーの焼き加減もちょうどいいよ!」
「そ、そう? それならよかった~! 自分では出来映えに自信持っていいのかわからなかったから、雫にそう言ってもらえてほっとしたよー」
よほど気にしていたらしく、ふうっと息を吐いた息は何やら重さを含んでいる。
だけど今の会話で本当に安堵できたらしく、茉理ちゃんの周りには軽やかなオーラが漂っていた。



