やがて言葉の意味を理解したらしく、茉理ちゃんはすっかりテンパった状態で、わなわなと震えながら声を張り上げた。


「えっ、なんで!?」

「そりゃあもちろん、バレンタインだからだよ。ほら、ちょっとでも変化をつけて、なにかしら気持ちをアピールしなくちゃ! こういうときにアクションを起こさないとって言ってたのは、茉理ちゃんでしょう?」

「うっ、まさか自分の言葉がここで返ってくるなんて……」


数分前に言われたことを我が物顔で伝えると、茉理ちゃんはため息をつきながら両手で顔を覆ってしまった。


「大丈夫だよー、そんなに心配しなくても。わたしが一緒に作るんだから、失敗なんてさせないよ!」

「……ほんと?」


胸を張って伝えた言葉に反応して、茉理ちゃんがおずおずと手を下ろす。

そして見えたのは、まだ不安の色を宿している視線。
それに自分の視線を絡ませると、わたしははっきりとした声で頷いた。


「うんっ、ほんとだよ! だから、今年のバレンタインは一緒に頑張ろう! わたしも……頑張ってみるから!」


小さな変化を起こすだけでも、とても勇気がいるけれど。
頑張ったら頑張ったぶんだけ、その先の未来でいいことがあるかもしれない。

今はただ、そう信じて前向きな気持ちを持っていたいんだ。

そしてそう思えるように励ましてくれた茉理ちゃんに、今度はわたしの応援で同じことを思ってもらえるようになりたい。