いつでも一番星



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「うわー、部活行きたくねぇ!」


6時間目の授業、それからホームルームが終わったあと。

放課後の騒がしい雰囲気に変わった教室内で、その声は一際目立っていた。

それはわたしの左隣の席の横峰くんが発したもので、席に着いたまま帰り支度をしていた身体がびくりと震える。

隣を見ると、横峰くんが座ったまま机にしがみついていた。その表情はげっそりしている。

そのわりにさっきの声は、無駄に大きくて元気だったけど。

横峰くんの項垂れている頭を、茉理ちゃんがパシンッと叩く。


「なーに駄々こねてんの! さっさっと部活行くわよ!」

「茉理は鬼か! ちょっとは走る俺らの気持ちも考えてみろって! 今日はあの坂道ダッシュの日なんだぞ!? そんな日は部活行く気も失せるんだよぉぉぉぉ!」


横峰くんの嘆いた声は、無駄にエコーがかかって響いた。

そのあまりにも必死な思いは、教室に残っていた人達にくすくすと笑われていた。

わたしは情けの思いから苦笑いで留める。


横峰くんは、ナツくんと同じ野球部だ。
バッターとしてよく活躍しているみたいで、この前の大会では2本ホームランを打ったらしい。

その成果はナツくん同様に注目を集めているらしく、あの新聞記事でも紹介されていた。
残念ながら紹介の仕方は、ナツくんより雑だったようにも思えるけど。

そしてそんな横峰くんを、野球部マネージャーの茉理ちゃんは容赦なく叩き起こした。