「いや~、俺らもかなり人気者になったもんだねぇ。さっきの子たちで、声かけられたの5回目だし」
「……あんたたち、そんなに声かけられてたの?」
ちょうどわたしが驚いて思ったことを、茉理ちゃんが少し不機嫌な声で尋ねた。
横峰くんはそれに気づいていないのかあえて無視しているのか、自慢気に話し始める。
「おう! さっき宣伝で回ってるときにな。試合のときのユニフォーム着てるから目立つし、俺らだってわかりやすかったんだと思うぜ。ちやほやされていい気分だったよな、ナツ!」
「いい気分っていうか、なんていうか……。応援してもらえるのは嬉しいけど、あんまりがっつかれると……ちょっと疲れる」
ナツくんの顔からはすっかり笑顔が消えていて、本当に疲れた様子で額に手を当てながらため息をこぼした。
笑顔ではない、珍しい表情のナツくんにわたしは目を丸くする。
喜んでいる横峰くんとは対照的な反応だった。
「まあ、確かに疲れるかもな。ナツは毎回連絡先聞かれてたし。みんな下心丸出しな顔しちゃってさー」
「えっ!?」
横峰くんの口から衝撃的な話が飛び出して、思わず声を出してしまった。
それに不思議そうな表情で反応してきたのはナツくんで、慌てて言葉を繋げて繕う。
「あっ……えっと。そ、そこまで人気があるなんて、ナツくんはすごいね!」
上手く誤魔化せたのかもよくわからないままに笑ってやり過ごす。
頭の中は焦りと不安でぐちゃぐちゃだ。
……連絡先を聞いた子たちは、みんなナツくんにファンとしてではない好意を抱いている。
それは、横峰くんの言葉から十分察することができた。



