まるで芸能人を目の当たりにしたような反応に面食らって、わたしは忙しなく瞬きを繰り返しながら、女の子たちに笑顔で対応するナツくんたちを見ていた。
……なんか、すごいな。ファンだって。
おちゃらけるけれどいつも場の雰囲気を盛り上げてくれる横峰くんと、穏やかで実直な性格で人望を集めるナツくん。
そんなふたりは普段から校内で人気がある方だし、新聞で野球の実力を取り上げられたりして、彼らはますます注目の的になった。
その人気はてっきり校内で留まるものだと思っていたけど……どうやら、その波は校外にも広まっていたらしい。
「……」
ナツくんが人気があるのは知ってる。そんなの、前から知ってる。
それでも笑顔で女の子たちと握手を交わし、質問に答えているナツくんを見ていたら。胸が嫌な音を立てて軋む。
ざわざわと揺れて脆くなった部分は、触れたら今にも崩れ落ちてしまいそうだ。
……ああ。嫌だな、わたし。
こんな些細なことで嫉妬しちゃってる。
あの子たちは純粋にファンだからあんなにも嬉しそうに笑っているのかもしれないのに、その表情が色めいているように見えて仕方がなかった。
ナツくんが好きなのかもしれないと勝手に予想して、気が気じゃなくなる。
わたしが知らないところでナツくんを想う人が増えていくのだと思うと、はらはらせずにはいられない。
そして、見慣れた人懐こい笑顔を女の子に向けるナツくんを見ていたら……。
わたしもナツくんにとっては大勢いる女の子のひとりなんだ、って。特別なんかじゃないって、思えてきて。
少し前まで浮かれていた気持ちがしぼんでいくのを感じた。



