8個入りのロシアンたこ焼きは、はずれ以外もすべてが変わり種になっている。
わたしが最初に食べた中身はチーズで、とろりと溶けておいしかった。
2個目に食べたやつにはコーンが入っていて、ちょっと甘めだからおやつみたいだった。
最初にはずれを引き当てていた横峰くんが次に食べたやつは、中にたっぷりネギが入っていたらしくて。これはこれで微妙だと嘆いている。
ヨーヨー釣りのときからとことん災難続きで、何だか横峰くんが不憫に思えた。
「あの……ちょっといいですか?」
遠慮がちに、だけどはっきりとした声を背後からかけられたのは、ちょうどそんなとき。
一瞬誰に向けられた声かわからなくて、窺うように振り向く。
そこにいたのは、ふたりの女の子。
たぶん同い年ぐらいのその子たちは私服姿だから、きっと一般客だろう。
わたし以外の3人も振り向いて、ふたりはたくさんの視線に戸惑うように緊張を顔に浮かべた。
だけど、女の子たちが視線を向ける先は、最初からずっと揺らがずに変わらない。きらきらとした瞳を、熱心に向け続けている。
……ナツくんと、横峰くんに。
「あのっ、森山くんと横峰くんですよね? あたしたち、夏と秋の大会でふたりの活躍を見て、そのときからファンなんですー!」
「そうなんですよー! まさかこんな間近で生のふたりに会えるなんて……! ちょっと感動しちゃったっ」
一度口を開くと、一瞬見せた緊張による戸惑いなんて嘘だったように、女の子たちは興奮した様子で話し始めた。
きゃっきゃっと黄色い声を出す彼女たちの視線は、ユニフォーム姿のふたりにずっと釘付けだ。うっすらと頬をピンクに染めて、笑顔が絶えない。



