緊張が絞り出した声に伝染して震える。
「貰っちゃっても、本当に、いいの……?」
「うん。俺が勝手にあげてもいいって思ってるんだから、気にしないで遠慮せずに受け取って。それに……」
輪ゴムを握らせるために重ねられていたナツくんの手のひらに、やわらかく力が入れられる。
きゅっと包み込まれた手に熱が帯びた。
やがて離れていく手。
その温もりを名残惜しむように追いかけてナツくんの顔を見れば、気をゆるめたように笑っていた。
それは以前に一度見せてくれた、優しい心からの笑顔――。
「……平岡さんだから、あげたいって思ったんだし」
おまけに、その顔を真っ直ぐ向けて、そんなことを言うものだから。
甘い波がぶわぁっと全身を駆け巡って、嬉しさで胸がいっぱいになる。
ねぇ、ナツくん。
そんな言葉、勘違いしちゃうよ。
ナツくんの中でわたしは、少し特別な立場にいるのかなって……思いたくなる。
ナツくんへの想いが、ますます大きくなるよ。
「……ありがとう。大事に、する」
わたしには眩しすぎる笑顔をそれ以上見ていることができなくて、少し俯いて言葉を紡ぐ。
見ていないのにナツくんが微笑んでくれたような気がして、鼓動の早さは、なかなか落ち着いてくれなかった。
☆★☆
それから、射的を終えたふたりと合流したとき。
射的で高得点を叩き出してビッグサイズのスナック菓子を手に入れた横峰くんは、すっかりご機嫌になっていた。
にこにこな表情に、単純だなぁって思う。
でも今のわたしも、人のこと言えないぐらい顔の筋肉がゆるみきってしまっていた。



