いつでも一番星



ほっと一息ついたナツくんは、わたしと売り子くんに向かって、にひっと無邪気に笑ってみせる。

間近で見る笑顔に、無条件でときめいていた。

ゲットおめでとうございますー、と言っている売り子くんの声がどこか遠くに感じるぐらい、目の前の笑顔に夢中になる。

だけど売り子くんにお礼を言ったナツくんがわたしに視線を移すものだから、慌てて我に返った。


「……す、すごいねナツくん! ゲットできてよかったね!」

「ありがとう。まあ、運がよかっただけだと思うけど」


ナツくんはそう言うけれど、わたしからすればナツくんは何だってこなせるすごい人というイメージがある。

だから今のだって運だけじゃなくて、きっとナツくんが器用だから釣れたんじゃないかな。


「はい、平岡さん」

「へっ?」


ヨーヨー釣りのコーナーから移動し始めた直後に、差し出された水風船。

オレンジ色のそれは、紛れもなくさっきナツくんがゲットしたばかりのものだった。

それが今わたしに差し出されている理由は、当然ながらわからない。

ぽかんとした表情のまま立ち止まってナツくんを見上げれば、当たり前のように言われた。


「これあげる」

「えっ……ええ?」


戸惑って言葉が続かない。

どういうこと?
ナツくんは何を言ってるの?


「これ、平岡さんが狙ってた水風船と一緒だろ? だからあげるよ。俺は釣りたかっただけだし」


困惑していると、ナツくんはわたしの手を取って水風船の輪ゴムを握らせてきた。

ちょっと強引に、でも優しい手つきで。
何の躊躇いもなく触れてきたナツくんの骨ばった手に、ドキドキが加速する。

耳元で鳴り響く大きな心音が、ナツくんにまで聞こえていそう。