いつでも一番星



……あ、これ可愛い。

散々悩んだ末に、目に留まったひとつの水風船。

淡いオレンジ色に白や紺の波模様が入っているそれが、水風船の集団から離れるようにゆらゆらと流れ動く。

そしてその水風船の輪ゴムがちょうどわたしの前にうまい具合に現れて、すかさずそれに向かってこよりを動かした。

こよりを水に濡らさないように気をつけながら、輪ゴムに針を通す。

そして、慎重に水風船を釣り上げるけれど……。


――ポチャン……。


「ああ~……」


水風船が水面から出て浮き上がったところで、重さに耐え兼ねたこよりが千切れてしまった。

狙っていた水風船はわたしの手に触れることなく落ちて、再び水面を漂う。

横峰くんほどではないけど落ち込んで項垂れるわたしに、売り子くんが明るく声をかけてくれた。


「惜しかったですねー。もう1回やりますか?」

「うーん……やめておきます」


水風船は欲しい気もするけど、潔く諦めて千切れたこよりの端を売り子くんに渡す。


「そうですか。またよかったらチャレンジしてください」

「うん、ありがとう」

「こちらこそありがとうございました。……ナツ先輩は釣れましたか?」


売り子くんは人懐こい笑顔でわたしへの接客を終えると、少し屈んでナツくんの様子を窺う。

わたしもナツくんの手元を覗き見た。


「今釣ってる」


あ、と思ったときにはもう、ナツくんが持つこよりが水風船を釣り上げていた。

釣り上げたそれが落ちてしまわないように、素早くかつ丁寧な動作で手に取る。

ナツくんが釣り上げたのは、さっきわたしが逃してしまったのと同じ、オレンジ色の水風船だった。