いつでも一番星



唇をきゅっと結んでから、仕事の合間に何度も頭の中でシミュレーションしたように言葉を放った。


「あの、よかったら、一緒に文化祭回らない? その、わたしと茉理ちゃんと、ナツくんと横峰くんの4人で。ちょうど今から同じ休憩時間だし、大勢で回った方が、たっ、楽しいかなって、思うんだけど……」


まともに目を合わせられなくて、緑色のシートが敷かれた体育館の床の上を視線が彷徨う。

……全然ダメだ。
シミュレーションしたときみたいには上手く言えない。

声は震えていたし途切れ途切れだし、そのわりには早口で噛んじゃって。
発した声はまるで、自分の声じゃないみたいだった。

たったこれだけを言っただけなのに、心臓だってばくばくしてる。

嫌だって言われたらどうしよう……。

シミュレーションしても拭いきれなかった不安で心の中が埋め尽くされて、下を向いたままぎゅっと目を瞑る。

指先が震えるの感じた直後、俯いた頭に声が降ってきた。

……ナツくんの、優しい声。


「いいよ、一緒に回ろうっか。みんなで回るの楽しそうだし。唯斗もいいだろ?」

「おう、もちろん。一緒に回るの賛成ー!」


ナツくんに続いて横峰くんも了承してくれたところで、やっと顔を上げることができた。

ふたりがわたしに向かって頷いてくれて、騒がしかった鼓動がようやく落ち着く。

安堵したら、自然と笑顔になった。


「ふたりとも、ありがとう!」


断られなくて本当によかったよ……。

誘いを受けてもらっただけですっかり安心してしまい、身体から力が抜けていく。

わたしの少し後ろで待機していた茉理ちゃんに振り向けば、口パクでよかったねと言ってくれていた。