南田高校野球部のユニフォームは、白地に薄い紺色の細い線でストライプが入っていて、左胸に縦書きで校名の刺繍が施されている。
濃紺の“南田”の文字がオレンジの線で縁取られていて、何だかそれは、夕暮れのグラデーションの空を彷彿とさせる色合いだった。
そんな、いつも被服室から見かけるときの練習着とは違う特別な格好は、凛とした印象が強かった。
ナツくんから滲み出る芯の強さが、とてもよく似合っている。
今まで壮行会のときぐらいしかまともに見られなくて、おまけに遠目でしか確認できなかったけど。
今まさに、一番近くでナツくんのかっこいい姿を見ることができた。
何てラッキーなんだろう。
文化祭委員、グッジョブ……!
「おーい、ナツ。そろそろ宣伝行くぞ」
照れで忙しなかった鼓動が別の意味でドキドキし始めたところで、横峰くんがナツくんを呼んだ。
声がした方を向くと、宣伝用のプラカードを持って手招きをしている。
「そういえばナツくんは……宣伝係だっけ」
「うん。平岡さんは受付係だよな?」
「そうだよ」
わたしが担当することになった受付係とは、会場に来たお客さんから代金をもらい、ストラックアウトの得点に応じて景品交換を行うのが仕事だ。
ちなみに茉理ちゃんが、ルール説明をしたり、得点を計算してお客さんと受付係に伝える仕事を担当している。
そしてナツくんや横峰くんが担当している宣伝係とは、校内を回ってお客さんの呼び込みをする仕事だ。
ふたりとも全身ユニフォーム姿だし、きっとお客さんの目を引くだろうなぁ。
野球部の人がユニフォームを着るアイデア、本当にナイスだよ文化祭委員くん。



