いつでも一番星



ナツくんのことは知っているようで、知らないことの方が多い。

でも、頭に浮かんでくる。
このユニフォームを身にまとって、綺麗な姿勢でマウンドに立つナツくんの姿が。

一生懸命に、そして真っ直ぐな心で野球に向かう姿は、きっと変わっていないだろうなぁ。

ナツくんを見ていたら、そんな気がするよ。


「いえいえ。中学時代のやつでもこうやって役に立てたなら嬉しいよ。それに平岡さん、すごく似合ってるからよかった」

「えっ!?」


さらりと言われた言葉に過剰に反応してしまった。

だってナツくんに、似合ってるって言われたんだもん!

しかも、すごく、って……!!

ナツくんの言葉が何度も頭の中で再生される。

たった少しの褒め言葉だけど破壊力は抜群で、頬が熱くならずにはいられなかった。

嬉しさと恥ずかしさで、もうまともにナツくんを直視できない。

俯いて、漏れ出す気持ちを誤魔化すように開いた口から出てきたのは、早口になって上擦った声だった。


「な、ななっ、ナツくんだって、ユニフォーム似合ってるよっ!!」

「えっ、俺? ありがとう。でも俺のは、いつも試合で着てる普通のユニフォームだけど……」

「でも、似合ってるのは、本当だよ……!」


首を傾げているナツくんに向かって、こくこくと頷いた。


今日ナツくんが着ているのは、公式戦で着ている野球部のユニフォーム。

上着をユニフォームTシャツで揃えているだけのクラスメートとは少し違い、野球部の人たちだけは全身が正式なユニフォーム姿になっている。

どうやら野球部に所属している文化祭委員が考えた宣伝方法らしく、その文化祭委員の男子と、あとは横峰くんがナツくん同様にユニフォームを着ていた。