いつでも一番星



文化祭は一般公開もしているから、今日はたくさんの人が来場してくるはず。

ストラックアウト、いろんな人に楽しんでもらえるといいな。

大人にも子供にも喜んでもらえるように、景品にはお菓子やグッズなどを揃えたことだし。


「サイズ、やっぱり俺のだと大きいね。動きづらくない? 大丈夫?」


円陣が崩れた直後。

何となく視線を感じて顔を向けるとちょうどナツくんが歩み寄ってきて、わたしの全身を確認すると気にかけた様子で尋ねてきた。


「さすがにサイズは合ってないけど、動くのは全然大丈夫だよ。ほらっ、こんなに動けるし!」


両腕を曲げたり伸ばしたり、上げたり下げたり。身体を捻ってみたり。
いろんな動きをして見せて、元気に活動できることをアピールする。

サイズは確かに大きいのだけど、肩口の部分が頻繁にずれ落ちるわけでもないから、支障はほとんどなかった。

必死に腕を動かしているわたしを見て、ナツくんはくすくすと笑っている。


「それだけ動けるなら確かに大丈夫だね。それならよかった」

「うん。ナツくんから貸してもらえて本当に助かったよ。ありがとう!」


このユニフォームTシャツを借りる約束をした日にも伝えたお礼を、改めて口にした。


ナツくんが中学時代に使ったユニフォーム。

きっとたくさんの努力と苦労、そして楽しくてかけがえのない日々の思い出が、これには詰まってる。

そんな大切なものを今こうやって着させてもらっているなんて、どれだけ贅沢なのだろう。


……中学生のナツくんは、どんな人だったのかな。

何を見て、何を感じて、何を思って、どんな姿をしていたのだろう。