椿の氷

部室の奥には、ロッカールームがある
共同庭球を称えた先人が作ったものだ

そのロッカールームの扉前
薄紫苑の布が、無様に放られていた
拾い上げると、それは女子用の制服のブレザー
サイズはとても小さい
縫い付けられたら名札には、書かれてほしくない名前が
無情にも刻まれていた


『闇之 豹那』




躊躇なんてしなかった
ただ、着替えているだけかもしれない
それでもいい
ただ、何事もない姿を見て、安堵して
また軽口を叩きたい



「闇之!」




居た

体を縮こませる、哀れな豹の子が