そしたら、何でも分かってやれた気がするんだ。
あくまで、気がするだけだけど。
それでも俺は信じたかったんだ。
透明が俺を必要としてる、って。
俺は…。
俺は…、透明がずっとずっと欲しかったんだ。
誰よりも、何よりも近くにいて…側で透明を愛していたかったんだ。
「し、時雨!?」
教室を飛び出した俺。
幸翔に呼ばれたが、そんなのどうでもいい!
…いや、よくないが。
補習なんて糞食らえ。
透明っ…!
「…っ、透明!」
俺は転ぶ勢いで走る。
周りは驚きの目で俺を見ている。
透明が今心で泣いてる気がするんだ。
透明が一人で苦しんでる気がするんだ。
馬鹿かもしれない。
気がするだけでこんなに一生懸命になってるんだから。
でもこんなに人に一生懸命になれたんだ。
こんなに…人に執着できたんだ。
こんなにも…人に一喜一憂できて、泣けたのは、初めてなんだ。
透明…、俺にはお前が初めてなんだよ!