黄昏の特等席

「よし。だいぶ良くなった・・・・・・」

 掃除に夢中になるあまり、時計を一度も見ていなかったので、食事をする時間のことなんて、気にしていなかった。

「かなり綺麗になったな」

 エメラルドが驚いている顔にグレイスは少し心が満たされた。
 でも、まだ掃除を完全に終わらせるには時間がかかる。
 
「食事にしよう。アクア」
「ええ」

 エメラルドに肩を抱かれ、案内された場所はグレイスが知らない場所だった。

「ここは?」
「休憩室だな」

 食事ができる場所として休憩室があり、テーブルの上にはすでに二人分の食事が用意されていて、湯気が上がっている。
 グレイスが掃除を頑張ってくれている間、エメラルドがメイドに頼んだものだ。

「さあ、どうぞ」

 椅子を指差したことを確認して、グレイスは腰を下ろした。
 グレイスの好きなものが揃っていて、好みをメイドから聞いたのか、口を開きかけてすぐに閉じた。

「何か・・・・・・食べられないものでもあるのか?」

 なかなか食べようとしないグレイスに、エメラルドは動かしていた手を止めた。

「ううん、そうじゃないの」
「だったら・・・・・・」

 好きなものがたくさんあるので、どれから食べようか迷っていただけ。
 そのことをエメラルドに伝えた後、スプーンを手に取り、食事を始めた。口に運んで頬を緩ませているグレイスを見て、エメラルドは満足する。