黄昏の特等席

 簡単に思い通りにならないと思っていたことが見事に思い通りになった。
 ついこの間までキッチンで働いていたグレイスは図書室で働くことになり、エメラルドが歓迎してくれた。

「会いたかったよ。アクア」
「どうも・・・・・・」

 可愛くない態度を取ったのに、エメラルドは何が面白いのか、声を殺して笑っている。

「何ですか?」
「随分警戒しているんだな」

 今のグレイスは小動物が威嚇しているようにしか、エメラルドには見えない。

「そんなことありません」

 警戒しているものの、ここで肯定するつもりなんてない。

「そうか?」
「はい。これからよろしくお願いします。エメラルドさん」
「こちらこそ」

 エメラルドはグレイスの印象が良く、気に入ったので、よそよそしい話し方をやめるように言った。
 本人はグレイスに妙な距離を取られることを嫌らしい。

「でも、あなたは私の上司ですから」

 目上の人に気軽な話し方をするなんて、失礼な態度だ。

「それなら、なぜ上司の命令に逆らうんだ?」
「それは、その・・・・・・」
「そうだろう?」

 言葉に詰まったグレイスは渋々エメラルドに砕けた口調で話すことにした。