「鳥、好きなんだな」
「うん、好きだよ。それに特別だから・・・・・・」

 好きであることを認めた後に言った声は小さかったものの、彼はそれもしっかりと聞いていた。
 エメラルドはちらりとグレイスを見て、その意味を知りたがった。

「簡単に言うと、ある日、鳥が私のところまで贈り物を運んでくれたから」

 もう少し良い言い方があるのだろうが、今のグレイスにはこれが精一杯だった。
 どんなものを運んでくれたのか、彼には内緒にして。

「誰かに話すと思っているのか?」
「ううん、そうじゃないの」

 それに対して、否定をした。内緒にする理由はそれではない。
 自分にとって大切なものだから、内緒にしておきたいことを伝えた。

「だから言わない」
「聞きたかったな・・・・・・」

 残念そうに溜息を吐いたエメラルドは鳥の話をやめることにした。
 図鑑を閉じてテーブルの上に置き、グレイスの隣に座った。

「もっと君のことが知りたいな・・・・・・」

 エメラルドはどうしてグレイスに興味を持つのか。
 自分が面白い人間と思っていないので、その疑問は深まるばかり。
 彼にそのことを言っても、引き下がるとは思えないので、質問に応じることにした。

「教えてほしいな・・・・・・」
「私の何を知りたいの?」