黄昏の特等席

 食事を終えたエメラルドはグレイスの隣に来た。

「ペットは私の隣にいるな」
「私はあなたのペットじゃないから・・・・・・」
「だけど、世話をしないと・・・・・・」

 グレイスの肩に手を置いたエメラルドは急接近して、グレイスの唇の真下を舐めた。

「何するのよ!」
「ソースがついていたんだ」

 グレイスは顔を真っ赤にして、エメラルドから顔を背けた。
 それでもエメラルドが追いかけて、笑みを浮かべながら視線を合わせてくる。

「こっちを向いて。アクア」
「嫌・・・・・・」

 首を横に振りながら顔を隠すと、耳に息を吹きかけられた。
 背筋に寒気が走り、食事の邪魔をしないように言うと、皿を見て、グレイスも全部食べ終わったことを言われた。

「どうしていつもこんなことをするの?」
「だって可愛いから」

 その声は嬉しそうで、全然反省の色がないことを示している。

「あんまりしつこくするんだったら・・・・・・」
「何する気だ?」
「こっちも同じことをするからね!」

 目を丸くしたエメラルドは口に手を当てて、声を殺しながら笑い始めた。

「何笑っているの?」
「おかしいから。くっ、仕返しか?」
「そうよ」

 勢いで言うと、彼に積極的であることを言われて、指先で顎を触られた。
 息を吐いて、目を細めたグレイスを見て、エメラルドは少しずつグレイスを追いつめる。