黄昏の特等席

「ひっく・・・・・・」
「もうあんなことはない」

 傷つける者がいないから安心するように言いながら、ブライスはグレイスの涙を拭う。

「図書室で一緒に働いて、楽しかった・・・・・・」
「それ以外のときも二人でいたよね」

 ブライスがいなかったときもあったけれど、それでも二人で過ごすことは多かった。
 エメラルドとして接している間、グレイスのことを求める気持ちが強くなったことを告げると、聞かされた本人は顔を真っ赤にして明後日の方向を見ている。

「一人でいるより、ずっと心地良いからな」

 耳元でグレイスが可愛いから、離れることができないことを囁かれ、恥ずかしさのあまり、顔を手で覆う。

「近々、どこかへ行きたいな」
「だったら、あの鳥に会わせて」

 グレイスが鳥に会いたいことを言ってきたので、ブライスは思い出した。

「まだ言っていなかったな・・・・・・」
「今度は何?」

 咄嗟に身構えると、彼に楽にするように言われて、僅かに力を抜いた。

「あいつはただの鳥ではない」
「それって・・・・・・」

 実はあの鳥も変身薬で鳥になっていた人間だと教えられたとき、グレイスは声を上げて驚いた。

「どうして怪我を負って、あんな場所に・・・・・・」

 助けに来てくれた理由はわかったものの、それ以前のことがまだ謎のままだ。
 その理由は魔獣に襲われて、戦いのときに負った怪我だということが明らかになった。

「とっくの昔に治った」
「良かった」

 話を聞いて、ますます会うことを諦められずにいると、別の日に会わせることを約束してくれた。