黄昏の特等席

「本当のことを話さずに隠したまま、私をずっと図書室に置いたのは・・・・・・」
「見つかったら大騒ぎだ」

 二人を捕まえられる準備を整えるまで、ブライスはグレイスをそばに置いた。
 せっかくグレイスを独占しているのに、自分以外の者に奪われたくないので、今まで何も言わずに内緒にしていた。

「ど、ど、独占・・・・・・」
「そうだ」

 顔を赤く染めるグレイスの頬を撫でながら、ブライスは微笑みかける。
 大切な者を失いたくない、楽しい時間を潰されたくないので、ずっと彼はグレイスのそばに居続けた。
 ヴァネッサに会う前、知らないメイドに話しかけられたことを伝えると、それもブライスが彼女に命令したことだった。

「何から何まで仕組んでいたのね・・・・・・」
「そうなるな」

 ヴァネッサを騙すためにずっと前から計画していたことを実行した。
 もうグレイスに手出しをすることはできないことを聞かされ、両肩の力を抜いた。

「怖がらせてしまって、すまなかった」
「ゆっ・・・・・・」

 謝っても許さないことを言おうとすると、涙で目が潤み始める。
 あのときのことを思い出すと、今でも震えが止まらなくなり、恐怖心が大きくなる。

「そんな言葉をかけても、私は許さない」
「許さなくていい」
 
 本当のことを何度も話そうか迷ったものの、それだとグレイスを失ってしまう可能性が高くなるから、何も言わなかった。