黄昏の特等席

 いつからだったか、アクアマリンのペンダントをグレイスがなくしたと思っていたら、それを本人よりブライスが先に見つけていた。
 悪さをしようと思えば、いくらでもできることやペンダントを預けていたなどの話は彼が吐いた嘘だった。

「ヴァネッサがそれとグレイスを捕まえて、連れ戻すようにクルエルから命じられていた」
「なっ!?」

 ちなみにそれをきちんと果たした場合、ヴァネッサはクルエルにご褒美をもらうことができることも知った。
 ただ、それが具体的にどのようなものかまでは知らないまま。

「彼女が私を捕まえるのはどうしてかも知っているのね?」
「話を聞いたからな」

 しかし脱獄したことを騒ぎ立てても、記憶を吸い取ったブライスには通用しないことだった。
 ヴァネッサとクルエルを捕まえたので、グレイスに危害を加えることはない。

「二人のこと、どこまで知っているの?」
「一部だな・・・・・・」

 いくら記憶を吸い取っても、過去を知るのは限界がある。
 ブライスが魔法で知ったことはグレイスが閉じ込められて生活していたときだけだった。
 初めてクルエルを見たときから、彼に対する怒りが一瞬で膨れ上がるくらい、いろいろと問題がある男で、狂気を感じる。
 どう考えても良識のある者が好きな相手をそばに置くためにあんな風に酷いことをする行動ではない上に、その執着心は異常だ。