黄昏の特等席

 アクアマリンのペンダントをグレイスに返したブライスは懐から一枚の布を取り出した。
 それを見せてどうするのか考えていると、彼はそれをグレイスによく見えるように広げると、破れていることがわかった。

「見覚えは?」
「うーん・・・・・・」

 じっくり見ても、やはりただの布にしか見えないので、首を横に振った。

「だったら、ここに来る前に怪我を負った鳥を助けたことはあるか?」
「それは・・・・・・」

 必死に記憶を辿ると、自分が牢屋に閉じ込められていたとき、窓から怪我を負っている鳥が飛んできたので、ドレスの生地を破いて、怪我の手当てをした。
 思い出したグレイスがブライスを見ると、小さく頷いた。

「でも、それとペンダントと何の関係があるの?」
「手当てをしてくれた者を知りたくて、この生地から記憶を吸い取ったんだ」
「魔法で?」
「そうだ」

 魔法で記憶を吸い取り、グレイスがどのようなことをされていたのかを知ったブライスは怪我を治した鳥に変身薬を持たせて、助け出すことに成功した。
 グレイスを見つけるために、持っているアクアマリンのペンダントを目印にした。もしも容姿を変えられたら、グレイスを見つけることが難しくなるから。

「それを欲しがっていたのはあの男に頼まれていたからだ」
「でも、危険は感じられない」

 むしろ持っていると、心が落ち着くので、肌身離さず持ち続けていた。