黄昏の特等席

 自分の名前を呼ぶ声が耳元で響いて、グレイスは目を覚ました。
 目の前にはブライスがいて、同じベッドで眠っていたことに気づき、赤面する。

「おはよう。グレイス」
「おはよう。あの・・・・・・」

 知りたいことがたくさんあり、何から話したらいいのか迷って、沈黙ができてしまう。

「もう朝だ。先に食事を済ませよう」
「そうだね・・・・・・」

 食事中、グレイスはずっとブライスを見続けていたので、何度か手が止まっていた。
 食事のときもそれ以外のときもブライスは普段と変わらず、グレイスに接していたので、戸惑った。
 ソファに座り直したブライスを見て、グレイスは一気に緊張しながら、どんなことも聞き逃さないように集中する。

「まず初めて図書室で会ったときは偶然だな。いつも本を借りるのはここだから、あのときは驚いた」
「ちょっと散歩をしていたら、図書室に辿り着いたの」

 グレイスは図書室の場所を教えられていなかったから、見つけたときは嬉しくて仕方がなかった。

「図書室は私が今まで踏み入れなかった場所だったから、素顔を・・・・・・」
「ああ・・・・・・」

 今までブライスはグレイスと会うときは必ず顔を見られないように徹底していたーーグレイスに怖がられないように。
 だけど、素顔を見られたので、司書のエメラルドとして、グレイスに近づいた。