さくらの花が咲く頃に

「リヒト!返事をしない内にドアを開けないでと言ったじゃない!」

「どうせ開けるなら別に良いでしょう」


この男、勝手に部屋に入ってくると、私の横に並んだ。


「き、着替え中だったらどうするのよ!」

「特に俺は問題ないが」

「私が困るのよ!プライバシーの侵害!この変態野郎!」

「……見せるほどのものもないくせに」

「なんですって!?」


思わず立ち上がると、


「いえ、なんでもございません」


甘い笑顔して、何事もなかったかのように私に微笑みかける。

なんなのよ、もう!

こんなのと一年も同じ家だなんて嫌になっちゃうわ!


「まあまあ、リラさま、リヒトさまはお着替えを覗くような無粋者ではございませんわ」


マーガレット、そのフォロー微妙にずれてないかしら…。


「…それで、俺はリラさまの人間界行きにお供するのですか?」

「そうお父さまが決めたわ」


私はつんとそう言って、紅茶を飲んだ。


「リラさまは高等学校に行きたいとおっしゃっていましたが、それは?」

「許可されたわよ。南青葉高校というところなの!とっても楽しみ」

「それは良うございましたね。その学校へは俺もお供するが、文句を言わないように」

「…へ?リヒトもくるの?」

「当たり前だ。俺の役目はリラさまを護衛することだからな」


ちょっと。敬語くずれてるわよ〜

別に私はかまわないけれど。


「え!?いやよ。一人で行きたい!」

「文句は受け付けない」

「文句じゃないわ、不服申し立てよ!」

「同じだ」


…学校にリヒトも来るなんて。

面倒なことになりそうだわ……。


「あなたが面倒事を起こさなければ大丈夫ですよ」

「ちょっと!今私の心読んだわね!?」

「国王さまから与えてもらった力です。あなたが無茶なさらないようにと」


リヒトは私の護衛で、私の考えることを読める力を持っている。

でもそれは、そんなに強い力じゃないから、全部筒抜けというわけではないけれど、リヒトが力を込めればわかるようになっている。

まあ、こう見えてこいつも紳士だから、私の心を覗くのは極力避けてるみたいだけれどね。