私は、このピンク色の花をつける木に、満開に咲かせる魔法をかけることに決めた。

よく見れば、公園にぐるりとその木が植わっていて、

その木みんなが花をつけたら、どんなにきれいかしらって。

『木の精よ、花の精よ、その薄紅の花よ、春の空に咲き誇れ!』

精たちのざわめきに風が吹いて、次に目を開けた時には、競うように、ピンク色の花が輝き咲いていた。

公園にいた人は、何事かときょろきょろしながらも、花に見惚れている。

彼も顔を上げて、歓声をあげていた。

魔法って、こんな風に使えるんだ!

私は満足のため息をついて、ベンチに座ってみることにした。