さくらの花が咲く頃に

「皆さん、はじめまして。私が2年4組を担当する如月です」


今日は始業式という日らしい。

私が入るクラスもクラス替えをしたばかりなんだとか。


「実はこのクラスには転校生も入ります。紹介しますね」


声が聞こえ、先生が、ガラガラ音を立ててドアを開いた。

私はゆっくり入っていって、教壇で先生と並ぶ。


「転校生の、神崎りらさんです。…神崎さん、自己紹介お願いできるかしら?」

「はい…」


うわあ、みんなの目が刺さって痛いなぁ。

理人とは別のクラスだし、肩身が狭いわ。


「イギリスから転校してきました、神崎りらです。よろしくお願いします」


そう言うと、教室がざわめいた。

理人に言われた通りなんだけど、何か変だったのかしら?


「もしかしてハーフ?」


前の席に座っていた子が私に聞く。

ハーフって…あれか、魔法使いと妖精の混血、みたいなやつよね。

私は立派な王族の血筋よ。

純血に決まってるわ。


「ハーフではないわ…じゃないです。父も母も…ええと、日本人です」

「へえー」

「それにしては可愛いね!」

「ね。ハーフみたい」


そ、それにしてはって何かしら!!

どんな種類の生き物でも、重要なのは見た目でないでしょう。

不躾にも、この私の外見についてを話の種にするなんて、なんて失礼な人たちなの。


「イギリスのどこから来たの?」

「ロンドンよ」


そんなところ、行ったことないけどね。

私は、魔法界の王室育ち。


「じゃあ英語ペラペラなんだ!」


語学の授業は得意だけど、そんなの魔法でなんとかなるし…。

現に今も、お父さまの魔法で、私の喋ったことが日本語に聞こえるようになっている。


「でも日本語も話せるんだね」

「両親が日本人だから…」

「いいなあ、イギリス!かっこいい」

「あ、ありがとう…」


なんだか、もう話すのに疲れたわ。

どうして、答えが嘘になってしまう質問
しかしてくれないのかしら。


「じゃあ神崎さん、あなたの席はあそこです。わからないことがあったら、何でも聞いてくださいね。…みんなも仲良くするようにね」


担任の先生は、綺麗な女の人。

教科は数学だと言っていたかな。

私は教室をすたすた突っ切って、硬い椅子に座った。