さくらの花が咲く頃に

「リラ、プレゼントは人間界でのお家よ。楽しみにしていて、とっても素敵だから」

「ありがとう、お母さま。お父さまも」

「帰りたくなったら、すぐ帰ってきていいのだからな。体に気をつけるんだぞ」

「ええ、わかってるわ」


玄関ホールで、お父さまが私の手を握って離さない。

心配性なんだから…。


「いってらっしゃい、リラさん。お手紙、楽しみにしてるわね」

「はい。マリーさまも、お体を大切に!」


そして、私はお兄さまに視線を移す。


「よかったわね、お兄さま。かわいい姪っ子か甥っ子、楽しみにしてるわ」

「ああ。おまえにも抱かせてやるから楽しみにしとけ」


マリーさまのお腹には、お兄さまとの子どもがいるのだ。

それは、昨日わかったこと。

私が帰ってくる前に、生まれるかな…。


「じゃあ、行ってきます。人間界行きを決めていただけて、感謝してます」

「うむ。マーガレット、リヒト、たのんだぞ」


みんなに見送られて、私は外に出た。

馬車に揺られて、人間界へのポイントを目指す。

ああ、私、とうとう人間界で暮らせるんだわ!

とても、とても楽しみ……。