°°ワガママの果て°°

案の定
部屋の前でピタっと止まった足音。




母が何を伝えに来たのかわかる。
また母もわたしがするであろう
行動がわかるから来たのだろう…




「園夏?入るわよ?」


「なに?そこから言えば聞こえるから入ってこないで!」




「……お父さんの言ったこと…
言い方はあんなんだけど
園夏を想って言ってるのよ?
園夏にはしっかりした人になってほしいから。ちゃんとした大人になってほしいから…」





しっかりしなさい。
ちゃんとしなさい。




幼い頃から言われ続けているこの言葉…もう聞き飽きた。



ちゃんとした、しっかりした…
それはいったいどんな人なんだろう。
何事もまず否定から入るこの両親に
認められる事なんてこの先あるのだろうか…




「お母さん体調が良くないの…
お願いだから安心させてね…
しばらくは夜の外出控えなさい。」




返事もせずに聞いている。
聞き流せたらどれだけ楽だろう。
しっかり聞いていて、
しっかりダメージを受けている…
そんな自分がイヤで嫌いで…
反抗出来ない弱さにまた悔し涙が流れる。