それは、カラオケに入って数十分後の出来ごとだった。
そこまで?と首を傾げたくなる程盛り上がり笑い合っている先輩とアイツを見て苛立った。
アイツは俺の隣に座っているくせに
俺を見向きもせず、正面に座る先輩ばかり見つめている。
わからないように吐いたため息は
気付かれず消えた。
アイツの気を引こうと、立ち上がり部屋のドアを開けようとした瞬間だった。
先輩の言葉に耳を疑った。
「園夏ちゃん!連絡先交換しとかない?」
はっ?まだ会って30分も経ってないし、先輩はいろいろ知ってるはずなのに…
「あっ♡いいですよぉ~♡」
アイツのいつもより高い声を背中に部屋を出たんだ。

