°°ワガママの果て°°

隣ですやすやと眠る悟くんの髪を
そっと撫で、腕枕してくれている腕を見つめて微笑んだ。




”幸せ”
この瞬間の幸せは言葉では表現できないほどの温かさで、それは素敵な夢の中みたいな心地よさ。






そんな夢の様な空間にずっといたいのに…わたしは自ら現実に戻る。






そっと腕枕から身体を起こして携帯電話を手にとった。

そういえばさっき父からの重なる着信が鬱陶しくて電源を切っていたんだ…


父の電話を無視することなんて今まで一度も無かったけど、今回ばかりはこうすることしか出来なかった。


”ごめんね…お父さん…”


振り切れない、”良い子でいなきゃ”と根付いたカタマリ。




切っていた携帯電話の電源を入れて
受信されていた1件のメッセージを確認した。









”帰ってくるんだね…俊哉”