°°ワガママの果て°°

真っ暗な部屋に入ると薄っすら目に入ったのはまとめられた荷物。



”本当に行こうとしていたんだ…”



言葉で聞いた時よりも、もっともっとギュっと締め付けられた胸。
ポツンと置いてある無言の存在にまた一瞬にして涙が溢れてきた。




部屋の中央にある電気のコードに手を伸ばす悟くんの背中に抱きついた。



「びっくりしたぁ~どうしたんだよ?」


「ちょっと…まだ…電気付けないで……」




潤んだ声に悟くんが気がつかないわけなくて、悟くんは電気コードを掴んでいた手をおろした。


そして、そっと向かい合うように振り向いてわたしを包み


「どうしたんだよ?」


と優しく耳元で囁いてくれる。




「本当に…行く気だったんだね…
やだ…お願いだから…どこにも行かないで……」