°°ワガママの果て°°

「雨落ち付いてきたからさ…ちょっと歩くけど…あの……俺ん家くる?」





悟くんのこの一言で、たった一言で
なぜだろう…心の距離がまた近づいた気がした。



「えっ…でも…お父さん、お母さんに迷惑だよ…こんな時間だし」




「いないから大丈夫。帰ってもこないし!それにお前そのままじゃ絶対風邪引くしな!!」






近づく心の距離とは別に、
悟くんの家族の影の部分を知ってしまいそうな予感がした。





「なら…お邪魔しよっかなっ♡」



一緒にいられるなら、
もうこれ以上はなくて手を繋いで歩くこの雪道も2人なら進んでいける。
わたしには悟くんしかいないから、
悟くんにもわたししかいないから。



「ねぇ~遠い!」


「頑張って歩けよ!」


「おんぶしてよぉ~」


「お前俺をつぶす気?」



「いつもこの道のりを歩いて来るんだね!大変だねっ!?」



「本当だよ…お前のワガママは天気も関係なしだからな!」



「ごめん!気をつけるねっ♡」



「いいよ、お前だから。そのままでいてよ」




こんな王子様(ひと)はもう二度と現れない。そんな風に思えるほどわたしは悟くんに恋をしている。